オクムラ・ホーム日記

本当に言いたかった事を。。。

ダクタイル鋳鉄管のを橋梁添架する場合は伸縮可とう管及び継ぎ輪を 設置した方が、より安全である

第16回のテーマです。

『ダクタイル鋳鉄管のを橋梁添架する場合は伸縮可とう管及び継ぎ輪を設置した方が、より安全である』

業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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NS形鋳鉄管


問題点および改善点

伸縮可とう管の設置については、橋梁添架(露出部)に可とう性能は不要であります。スラストブロック出口付近(地中)に設けるのが通常の配置位置です。厳密に考えれば、一般継手管のA形、K形等のラインであれば、ほかで伸縮性能は考慮する必要性は残りますが、現在主流の伸縮離脱防止管のNS形及びGX形の直管受口は伸縮継手構造であり、その他の伸縮は不要になります。
伸縮しろ部分は全体の直線延長により増減し配置します。熱膨張分、地震移動量を加味し、適量にライナを配分することが重要となります。

継ぎ輪の設置については、継ぎ輪の両受口は押輪にて抜け止めしてあり、伸縮機能は有しておりません。添架部に使用する事は元々意味を持ちません。

(追記)
ブラケットの設計で、多くの鋳鉄管の橋梁添架配管を目にしましたが、古い時代のやり方がそのまま、描かれていて、ほとんどの場合、伸縮継手管の考え方が、反映されていません。鋳鉄管の場合、すべて伸縮しろを残すだとか、すべてライナで埋めるとか、極端な図面が多い事が、現実問題であります。橋梁添架における伸縮装置は、直線距離(延長)によりけりであり、少なくても、多すぎても、うまく作動せず、その他多くの不利益が発生してしまいます。伸縮を考慮すればサドルサポート(可動支承)、リングサポート(固定支点)も必要不可欠であり、無視できない重要な構造となります。

 

経済性から支持金具はステンレス製より鉄製で充分?

第15回のテーマです。

『経済性から支持金具はステンレス製より鉄製で充分?』

業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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ステンレス製ブラケット

問題点および改善点

支持金具を設置する橋梁地覆の全箇所の事前測量は、足場の無い状態では不可能であります。全ての場合で橋梁は垂直及び水平には、できておらず、設置作業する現場での一定の範囲で微調整は必要不可欠であります。この現実を踏まえて、ステンレス製は現場加工は可能ですが、鉄製は防錆対策のめっき及び塗装工程が必要になるために現場での作業は困難となり、工場での修正作業となります。手間、時間ロスを考えれば、一概には比べられません。

(追記)
『ブラケット穴の形状は長穴にすれば万全』との意見を耳にしまが、設置時は余裕しろを大きく取ったほうが施工だけはスムーズに出来ますが、完成後は水の重量が加わり重力及び水圧も加わりパイプは蛇行したり、沈み込もうとするために上下左右に波打ち、直線性が維持できにくくなります。水平、勾配維持目的の点において、支持金具1基をアンカー2箇所で支えるのであれば、片方は丸穴にするべきと考えます。

パイプの長さの許容差は長い分は構わない?

第14回のテーマです。

『パイプの長さの許容差は長い分は構わない?』

業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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ポリエチレン管


問題点および改善点

ポリエチレン管は1本5,000mmに対して+100mm(-0mm)の許容差がある事はカタログ上に明記されています。他管種と同じ様な表記にすれば5,050mm±50となります。増減で2%と異常に大きな数値を示します。
道路内の埋設時には余るくらいで問題は少ないが、緻密な添架配管での使用では、1本を余長を持ったままの状態で接合してしまうと、ソケット位置が設計図通りに行かず支持金具との位置関係のずれを発生させてパイプ可動域を阻害する事は大きな問題であります。

短い距離であれば、影響は少ないであろうが例えば10本接合した場合最大で、1メートルのずれを発生させてしまいます。工事時期で、一本の長さが10センチほど変わる不安定な素材ですから、細心の注意を払う事は必然であります。

(追記)
重複しますが、ポリエチレン管は屋外露出配管に使用するには、表面を紫外線対策しただけでは、対策として不十分であります。1本の増減量を見ただけでも分かりますように、最も伸縮量を考慮し、設計及び施工しなくてはならないことが現実問題であります。

新設コンクリート橋にあと施工アンカーは使用できない?

第13回のテーマです。

『新設コンクリート橋にあと施工アンカーは使用できない?』


業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

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インサートアンカー(六角ボルト)


問題点および改善点

コンクリート橋の床板、主桁へ直接ボルト、ドリルピット等の穿孔、打込みは認めないこと。ただし、さき施工インサートを用い埋込みをする場合この限りではない。

一部土木管轄では、上記の様な水道管等の添架をする場合に規定している場合がありますが、私どもが基本的に提案する場所は、『橋梁地覆』であり、『橋梁主桁』ではありません。橋の構造上は別な物の勾欄(欄干)の基礎である地覆への添架を基本としており、あと施工アンカー(ケミカルアンカー)の使用は問題はないはずが、地覆が混同されている事で厄介な問題となるケースも多い。

(追記)
さき施工アンカー(インサート系めねじ)は新しく橋を作る工程内に、橋梁施工業者にブラケットの無い状態でアンカー材を埋め込む作業を
委託することになります。橋梁完成後の水道施工業者によるブラケット取付作業となりますが、あと施工アンカー(接着系ケミカル等)に比べて穴位置の不適合の頻度が高く、現地微調整が出来ない事が問題であります。責任の所在もハッキリせずにリスクも高いのが難点であります。

添架荷重でメートル当たり50キロを超えると橋梁の構造上の問題が発生する?

第12回のテーマです。

『添架荷重でメートル当たり50キロを超えると橋梁の構造上の問題が発生する?』

業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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ポリエチレン管


問題点および改善点

橋梁添架管においてメートル当たり50キロ制限とは電々公社がNTTに民営化される時の救済措置に由来するみたいですが、真意は誰に聞いても不明でした。一部土木管轄では水道事業にもこれを適用し負担金を求めるとの通達があるみたいですが、構造上の問題ではありません。

基本的に満水で水を通す水管橋では、パイプが大きくなるにつれ、水が重量を占める割合が高くなる為に管種による差は、ほとんどありません。
φ100以下であれば、一般的な管種であれば、50キロを超える事はありませんし、φ200以上になれば、全ての管種で弁、栓、継手類、ブラケットを含まなくとも、その制限はクリアできません。φ150だけ管種により優劣はありますが、極端に短い距離となれば、その場合でもクリアーは出来なくなります。ポリエチレン管だけは、いかなる場合も軽く制限をクリアー出来るとのイメージを持つ人が多いですが、間違いであります。

メートル当たり50キロの荷重で橋梁に構造上の影響があるのであれば、人が歩けない程の状態にあります。一般的には構造上の制限をかけるのであれば、総重量が問題であります。例をあげますと車両総重量4トン、10トン、20トン以上の車両通行規制などがこれに該当します。

(追記)
一部の国、県の土木道路管轄の中で、説明しても聞き入れてもらえない、ものすごくデリケートな問題ではあります。順守される物であれば、総重量による規制に切り替えて頂きたいと、個人的には思っております。

寒冷地の露出管は常に保温を考慮する?

第11回のテーマです。

『寒冷地の露出管は常に保温を考慮する?』


業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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保温工


問題点および改善点

『寒冷地の露出管は凍結防止対策として二重管方式・ラッキング方式等による保温は常に考慮しなくてはならない』との意見を耳にするが、基本的に配管は完全凍結しない限り破裂する事はないので、すべての場合に該当する事ではありません。地域でサイズは違いますが、現状でもある程度以上の口径は凍結防止対策として保温はしてありません。外気温にもよりますが、外面からの凍結が始まっても完全凍結するまでに水が流れればそれ以上は凍らない事が理由です。給水管レベルでは水の動きが少ないので必要なことは理解できます。不安が残る大きさの呼び径は露出部を増径だけすれば完全凍結する事はないので、高価でメンテナンス出来ない保温工事は不要であると考えます。

(追記)
現場施工によるラッキングの保温工事は本来、施設内、工場敷地内、私有地内配管等に限定するべき工事の方法であり、橋梁添架等の誰もが自由に出入りできる屋外での場合、施工後の維持管理において、外観を含め保持するのは、不可能であります。パイプに断熱材フォームを巻き薄いステンレス金属の板状の材料で外面を保護してありますが、衝撃には極端に弱い工法であり、数年後には、ほとんどの場合、本来の形状と機能は維持できておりません。なにより、水管橋に伸縮継手使用の場合にはパイプ可動を阻害してしまう事も重要な欠点であります。重複しますが、凍結防止対策としては、保温工事より増径する方が、経済的で効果的だと考えます。

水圧試験は1MPaを24時間保持が条件?

第10回のテーマです。

『水圧試験は1MPaを24時間保持が条件?』

業界内で、一般常識化していますが、間違って認識されている事例です。

 

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クローザージョイント

問題点および改善点

古い埋設配管の基準かもしれませんが、露出配管(水管橋)には、適合いたしません。最新の埋設配管の基準でみましても、ダクタイル鉄管、ポリエチレン管の場合は各協会マニュアルでは上水圧位まで加圧し、数分から1時間後程度で、一定圧以上保持すれば合格としてよいと表記があります。

最近の鋳鉄管は伸縮部を有していること、ポリ管の場合は大きく膨張する事で、24時間で露出部分が高水圧を保持するのは、理論的に不可能であります。
又、水管橋の場合の施工基準は、基本的に露出配管であるので、目視にて漏水箇所はわかりますので施工基準に明記はされておりません。
埋設部より拘束されてなく壊れ易い露出部に、パイプ、継手、弁、栓類の規格圧以上の大きい負荷を掛ける事はマイナス面ばかりでプラスな要素はありません。

(追記)
「水管橋の通水試験は両端を埋め戻す前に実施するのが効率的」との
意見を聞いた事がありますが、これも間違っている事例のひとつです。水管橋の場合の両端は一番大事な伸縮起点(固定支点)となるため、それを失う形になってしまうため、伸縮継手が全て伸びきった状態になる可能性が大きい。結果ブラケットが曲がるとか、アンカーが抜けたリだとか、最悪の結果をもたらします。
又、一度伸びきったパイプを足場の悪い状態で、元に戻すことは、ほぼ不可能でもあります。